ラウンジピアニストになるために必要なこと
ラウンジピアニストのお話をしましょう。
ラウンジピアニストとはホテルラウンジ・レストラン・バーなどで
演奏する人のことをいいますが、
その他にストリートピアノや楽器紹介のデモ演奏
(この場合ショービジネスとしてMCすなわちおしゃべり)も兼ねてお話をさせていただきます。
お店が「飲食店」である場合
そこはコンサート会場ではないということを念頭におきましょう。
お客様はあなたの演奏をチケットを買って聴きに来ているわけではないということです。
「たまたま接待や打ち合わせに使ったお店が生演奏をやっているお店だった」
ということも少なくありません。
あなたがコンサート、ライブを行う場合
大抵のお客様はあなたのファンだったり、あなたの演奏する音楽ジャンルが好きだという場合がほとんどでしょう。
お客様の中には「ピアノは弾けないけれど、ピアノの音はいいねえ」
と思ってくださる方もいれば、
「音楽なんてあまり聴かないし、ちっともわからない、興味がない」
という方もいらっしゃるのです。
●レストラン・バーやラウンジなどの飲食店はあくまでも「飲食が主体」
●ストリートピアノは広場空間を借りてその一角でピアノ演奏をする
ですから”演奏が押し付けになってはいけない” ということです。
生ピアノの場合、電子楽器のように音量を絞れませんので選曲に留意することが大切です。
電子ピアノで演奏をする場合もあるかと思いますがフルボリュームにすると結構な音量になりますよね?
楽器が設置してある空間がどれくらいの広さでどのようなシチュエーションなのかを考える必要があります。
静かに飲食を楽しむ場所なのか、比較的ワイワイガヤガヤしている空間なのか。
密閉された空間(店内)なのか、オープンなスペースなのか
それによって音量も考える必要があります。
いきなり「幻想即興曲」のような激しい曲やマイナーの曲(クラシックでいう短調)
を弾くのはやめましょう。
お客様やお店全体が暗い雰囲気に包まれてしまいます。
どんな場合でも一曲目は「短めでさわやかな曲」「ポップな曲」ではじめましょう。
演奏する場面がどこなのかにもよりますが、静かなレストランラウンジなどでしたら、クラシックでしたらドビッシー・シューマン・サティなど静かめの曲がおすすめです。
音楽大学でやるような「マニアックなクラシック曲」はやめましょう。
マニアックなクラシックはクラシックを極めた人、クラシック業界にいる人
それら内輪でしか受けないということを知らない方が多すぎます。
クラシック曲を弾くような場であれば一般の方が知っているような、
よく耳にするような曲を弾きましょう。
それに加えて
「音大の授業をそのままその場に持ち込まないこと」です。
間違えたら立ち止まってもう一度弾き直すなどをしないこと、
たとえミスをしても、飛ばしてもそれをお客様に
悟られないように最後まで曲を完走させる!
この気持ちがいつでも何よりも大切です。
◆クラシック曲で演奏して欲しいと要望があった場合
◆クラシック曲のライブ演奏を売りにしているお店や空間
この2つでない限りは
あなたが得意とはいえ、クラシックのみの選曲では硬くなりがち、
第一飽きられてしまいます。
飽きられてしまうというのは、お客様に飽きられ、お店のスタッフ、オーナーにも
飽きられてしまうということです。
「飲食」だけのお店は星の数ほどあります。
「雰囲気の良いお店」もたくさんあります。
飲食店のオーナー様は飲食・雰囲気の他にプラスαとして
「ライブ演奏が聴けるお店」としてお客様を呼びたいのです。
そしてそのお客様には一度限りではなく、何度も来て欲しい、
つまりリピーターになってもらいたいのです。
そのリピーターになって下さるお客様に更には
友人や知人などにお客様を紹介していただきたいのです。
「ライブ演奏がウリ」のお店にお客様が再度いらっしゃったとします。
そして今度はその方がピアノの生音が好きなお友達を連れて来たとしましょう。
その時「この店(実際にはあのピアノを弾いている人)は
いつも同じ曲ばかり弾いている。
しかもクラシックばかりでつまらない・・・・」
その声は必ずマスターやオーナーの耳に届きます。
ですからジャンルを問わずにレパートリーをできるだけ多く持つことが大切です。
お客様に不ふとしたタイミングでリクエストをいただくこともあります。
「そういった曲は弾きません(実際には弾けません)」
プロとしてこんな恥ずかしい発言はありません。
音大生のアルバイトも然り。
この一言と「あの人はクラシックしか弾けない」ということでクビになった人を知っています。
それと同時に季節感のある曲やお客様の年齢層によって
曲を臨機応変に変えることも大切です。
今日は70代の団塊世代のお客様が多いからビートルズやその世代の方が好きそうな
映画音楽や昔流行った曲(邦楽でも洋楽でも)などを、
若いお客様が多い時は今流行りのJ-POPなどをおりまぜて演奏すると喜ばれます。
私はこれで大成功でした。
お店の人にも喜ばれましたし、
今度はわざわざ演奏を聴きに来てくださる固定ファンを作ることができました。
臨機応変な対応ができること
「お客様に合わせて臨機応変な対応・選曲ができること」
これは場数を踏むことと、ご自身が幅広い音楽に耳を傾けて好奇心を持ち続けていれば身についていくことではないかと思います。
また、お店の雰囲気に合わせて選曲するということも大切です。
ある時こんなことがありました。
お店自体は貸切ではなかったのですが広いフロアの一角がお友達同士の飲み会で、
その中の二人が突如「私達、結婚します!」宣言になったらしく
その仲間から急遽「結婚行進曲」のリクエストをいただきました。
私は一瞬「えっ?」と思いましたが
(そのお客様が結婚式の2次会の服装でもなく普段着だったため)
とっさにメンデルスゾーンの「結婚行進曲」を弾くことになりました。
他のお客様は「えっ?何?何が始まったの?」とキョトン
お友達の粋な計らいで二人は店内を一周することに
(二人はきっと恥ずかしかったでしょうねえ)
すると他のお客様が一同立ち上がって「ウォー!!」と拍手喝采。
これは前もって打ち合わせが行なわれたわけでもなく、
本当に急遽リクエストをいただき、店内のお客様が一体になったケース。
こんなこともありました。
いつも来店するお客様やいつも楽器近くに座るお客様のお顔は大体覚えるものなのですが、ちょっと離れた席に50歳代のジャズ通の男性2人組がいらっしゃいました。
何曲か弾き終えたところに「さくら さくらをジャズアレンジでやってくれ」
私は「ハイ」と答えたと同時に「得意分野でよかったー」と思ったのと、
「何かためされているのだろうか?」と思いましたね。
弾き終わった後、拍手をいただきましたが。
そのお客様は再度いらっしゃったのを覚えています。
今度はリクエストはいただきませんでしたが、私がそのお客様を強烈におぼえていて(しかもジャズ好きだということを)スタンダードジャズを演奏することにしました。
こういう場では自作の曲や自分の好きなマニアックな曲(一部のマニアにしかわからない曲)も披露したくなるものです。
そういう際はスタンダード曲と織り交ぜて演奏するのがよいでしょう。
自作の曲やマニアックな曲を立て続けに演奏したところで、場合によってはお客様がひいてしまうことがあります。
中には「今の曲、いい曲ですね。何という曲ですか?」と聞かれることもあります。
次は「飲食店以外で演奏する場合・ストリートピアノ編」です。
ストリートピアノはラウンジピアノとはまた違ったシュチュエーションですね。
通りすがりのお客さんにたちどまってもらうためには
その時、その時代に流行っている曲を弾くことを強くお勧めします。
またはかつて流行った曲でスタンダードになっている曲などもおススメです。
演奏テクニックがあってもクラシックはあまり好まれないのです。
たまたま通りかかったらピアノを弾いている人がいた。
そうしたら流行りのポップスを弾いていたのですごくカッコよくて
思わず立ち止まって聞き入ってしまった!
自分もこんな風になりたい!と思ってもらうことが大切です。
聴衆は子供かも知れませんし、大人でもいろいろな世代の方々が行き来しているわけですから、
「わ~ なんかやってる!」
スゴイ!かっこいい!
こう思ってもらえるとあなたのファンになって思わず写真や動画を撮り始める人もいたりします。
季節にちなんだ曲、クリスマスならばクリスマスの曲、
卒業シーズンなら卒業にちなんだ曲など
今はポップスのアレンジがカッコいい楽譜もたくさん出ていますので
日頃からぜひそういった曲も練習しておくといいでしょう。
ちなみに柴田音楽教室ではそういったアレンジの曲もレッスンに取り入れたり
ラウンジピアニストのコース
ストリートピアノのコースもご用意しています。
こちらの記事も参考にご覧ください
ラウンジピアニスト養成のレッスンコースはこちらもご覧ください。
柴田音楽教室