ピアノレッスンで「負け組」にならないためには?
ピアノレッスンで負け組にならないためにはどうすればよいのでしょうか?
ピアノレッスンで「こんな考え方や行動では上手くならないな」と思うことがあります。
ピアノで負け組にならないためにはどんなことが必要なのでしょうか?
実際にあった例をあげて解説していきます。
耳障りのよい言葉や”キャッチコピー”または
いろいろな記事をたくさん目にするかと思いますが、
指導者の立場から申し上げて
「こんな行動や思考は負け組だなあ」と
思うことがしばしばあります。
それらを一つ一つ掘り下げて考察していきますね。
「続けることで成果が出る」ピアノレッスン
●小学3,4年生でピアノレッスンを辞めてしまう人は究極の負け組です(なぜならその後楽譜も読めない、大人になっても全く何も弾けなくなるため、数年間習った意味が全くなくなります)
●お母さんの意志でピアノを辞めさせるご家庭(子供は辞めたいとは思っていない)
●習いに行くだけで弾けるようになると思っている人
(ピアノを習った経験がない人に多い)
●レッスンでのアドバイスを「怒られた」と受け取る人
●学校などでよそのお子さんと進度で競うことでお母さんの自己満足になっている
●完璧を求めすぎる人
みなさん普段の生活があってそのうえでピアノレッスンがあるということなんです。
習う先生のタイプにもよりますが、クラシック音楽しか視野にない、ピアノが人生のすべてで生徒にそれを当たり前のように強く求めるタイプの先生は時として生徒を追い詰めてしまいます。
クラシック業界で仕事をしているプロはそれでもいいのですが一般の人はそうではありません。
ピアノレッスンは生活の中の一部分。
好きで一生懸命にやればそれでいいのです。
\理由を考えて勝手に自爆していく神経質なタイプの人、
自己肯定感が極度に低い人は要注意です/
ピアノの先生のイメージを作って(または過去のトラウマを思い出して)
それに自分を当てはめようとする必要などないのです。
●発表会などのイベントで自分のお子さんが出演した後途中で帰ってしまうご家庭
(終演後の集合写真に写ることがありません)
大切なのは「子供が音楽やピアノレッスンを通してどうありたいか」ということ。
これらを一つ一つ見解していきます。
①小学3年、4年でピアノレッスンを辞めてしまう人はその後1ミリも弾けません。
年齢的に早くに習いはじめても早くに辞めてしまう人、2,3年でピアノレッスンを辞めてしまう人は一番の負け組。
早くにはじめればそれだけ人より身につくと思ってはじめさせる保護者の方がいらっしゃいますが「習いはじめるタイミングというのは人それぞれ違う」ものなのです。
ピアノレッスンをはじめるにあたってお子さま本人が「習う」という自覚が持てていることが大切。
そのためには
●ご家庭の環境が整っているか。
(楽器のクオリティよりも親子共々習うという意思があるかどうかが大切)
●保護者の方がおけいこ事を継続させる意思があるか否か
にかかってきます。
「周りがみんなやり始めたので」
このような動機でピアノレッスンをはじめてしまうと子供が
「家で練習することで成り立つおけいこ事だという自覚が持てない。または苦痛になってしまう」わけです。
そもそも幼児期でできること、学童期でできることは個人差こそあっても学年によってできることには違いがあります。
早い段階で進みが早かったとしてもやがてある一定の年齢になったらその差がほとんどなくなることもあります。
問題はピアノの演奏レベルが途中過程でやめてしまって大人になってから何も弾けていない人。
ピアノというものは数か月や数年で弾けるようになったり成立する習い事ではないのです。
習いはじめる年齢や個人差もありますが、基礎を確立させるまでに2年から3年はかかるのが当たり前。
そこが水泳や他の習い事と大きく違うところです。
ピアノを習った経験がない方はそこを理解せずに自己判断で決断を下してしまう傾向が強くあります。
何かあれば今習っている先生にまずは相談してみましょう。
親身になって相談に乗ってくれると思います。
●早くにはじめれば人よりも勝てると思った。
いいえそうではありません。
そのお子さんによって興味を持つタイミングは違うのです。
「興味があってはじめる習い事は続きますし、上達もしていきます」
芸術系の習いごとは進度だけで勝ち負けが決まるものではありません。
②お母さんの意志でピアノを勝手に辞めさせるご家庭
成長曲線は人それぞれ違います。
大抵の人は上達⇒停滞⇒上達を繰り返していきます。
ピアノはそれだけ長いスパンで考えることが大切な習い事。
今の時代ピアノ以外の習い事も並行しているお子さんが多い中、お子さんは辞めたいと思っていないのに「勝手におけいこ事をすべてやめさせてクリアにする」状況を作って逆にお子さんを勉強、受験だけに追い込んでしまう方がたまにいらっしゃいます。
受験期に半年前、3か月前だけお休みするというスタンスではなく受験も習い事もすべてお母さんの意志で決めてすべてをリセットしてしまう。
受験期などはお子さんは塾などの競争で相当なストレスにさいなまれいています。
そこに「息抜きで勉強の合間にピアノを弾く」
「ピアノレッスンの進度をその間ペースを落としてストレス解消にピアノを弾く」という考え方をなさると良いでしょう。
お子さんはレッスンに来て先生と話をするというだけでも救われることがたくさんあります。
ピアノレッスンは常に全力疾走でなくてもよいのです。
誰にだって精神的に波はあります。
いい時もそうでない時もあります。
しかもまだ人格形成の途中の子供です。
それを勉強だけにしぼってしまうと心のよりどころがなくなってしまうのです。
意外かと思われるかもしれませんが、受験だけ1本に絞ってピアノを完全に辞めてしまう人よりもペースをスローダウンして淡々と続ける、受験の最後の追い込みの時だけお休みするというお子さんの方が受験に受かる傾向が強いのです。
学校に進学した後に学業成績で上には上がいるという現実を見ることがあります。
この時、何もかも捨ててしまったお子さんは学校以外何もないことに気が付きます。
③習いに行くだけで弾けるようになると思っている
これはピアノなど楽器を習った経験のない親御さんが陥ってしまいがちなパターンです。
おけいこごとが「低年齢化」しグループなどでみんなで集まる習い事の中には、
「子育てサークル」的なものや「そこに集まったママ達の社交の場」になっているものもいくつかあります。
そういったものと同様にとらえてしまい、安直に「3才からピアノを習えばいいんだ」と考えてしまう方。
3才、場合によっては4才は家でお母さんがとなりで付き添って「いっしょにピアノを楽しみながら触れる」ということをしなければ、ピアノレッスンはなかなかうまくいきません。
「ピアノレッスンに行くことはお勉強させられる」という認識になってしまい、その後は小学校の中高学年で何かのきっかけがなければもうピアノを習うこともないでしょう。
■幼児からピアノレッスンをはじめたい方は、2年くらいはお家でピアノのそばに付き添ってあげて下さいね。
お子さんによっては年長 6才くらいから自発的に楽しんで練習をするパターンもあります。
こういうタイプのお子さんは学業も優秀でピアノもグングン伸びていきます。
本人とお母さんが 神経質でないこと。
(ここが非常に重要な部分です)
家で教え込む必要はないのです。教える部分は先生に任せればいいのですから。
ただ、前を向いてピアノに向き合う姿勢を整えていくには「幼児の時期はママにそばにいて欲しい、そして褒めて欲しいもの」
ぜひこれをお願いいたします。
④おけいこごとを次々に増やしていく(4つ、5つは要注意)
いろいろなことを体験させてみたい! というお気持ちはわかりますが
周囲のお話や実際に4つ以上同時にやらせているご家庭はすべての習いごとが小学校の途中までしか続かず、結局何一つ残りません。
例えば水泳学習ならば「何級検定・クロール、背泳ぎ、バタフライ」などここまでの過程で検定が取れたら終了。というのがあります。
これはその習いごとを「卒業」と捉えていただいてよろしいかと思います。
子供の時にやっておけば大人になっても泳げるようになります。
問題は「たくさんおけいこ事をしていることがステイタス」だと潜在意識の中にあること。
何曜日は何で何曜日は何で。
これを淡々とこなせる器用なお子さんもいます。
元々器用で要領がいいタイプか神経質じゃないタイプの人です。
そういうお子さんは良いのですが、極度なのんびり屋さんや神経質なタイプのお子さんは何も身につかずに小学校の途中ですべてを辞めてしまうパターンが多い。
これをピアノと何か2つに絞るとそういう事態に陥る可能性は極端に低くなります。
⑤レッスンでのアドバイスを「怒られた」と受けとる人
怒られた=叱られた=注意された
これらは若干ニュアンスが違うのですがそもそもレッスンは「ここをこう弾いたほうがいい」 「ここはこんな風にしたほうがいい」「こんな弾き方はしない方がいい」などとアドバイスを受けるものです。
これを 「怒られた」というニュアンスで受け取る人は要注意。
怒る=叱る=注意する というのはレッスンでの言葉使いや態度が良くない時に発する行為です。
言われたことはすべてアドバイス。
⑥学校などでピアノの進度などを他のお子さんとくらべて競うことでお母さんの満足や競争になっている
学校などの同級生と比べて競ってしまうパターンですね。
これがお子さん本人が競うならば歓迎すべきことなのですが、私立小学校などでそれぞれのお子さんが違うピアノ教室で習っていて住んでいるエリアも違うのに比べてしまってお子さんを追い詰めているパターンです。
実際にあった例ですが、他のエリアに住んでいる同級生がコンクールを受けると聞いてお母さんが急に焦りを感じてその部分だけをフォーカスし、うちの子も負けたくない!と思い急にいら立ちを見せるタイプ。
もしかしてお友達のお母さんは「音大のピアノ科卒」かもしれませんし「高校や大学まで趣味でも結構ピアノを一生懸命極めた方」かも知れません。
そういう方は他の習いごととピアノを同列に考えませんし、ご自宅環境や元々音楽に対する思い入れが人とは違うのです。
他の人と比べなくても「自分は自分」
芸術はそれでよくないですか?
ピアノ教室というのは先生によって考え方が千差万別で、趣味程度の意識で少ない人数を自宅で教えている人も未だ多いのが現状です。
自宅が電子ピアノなのにいきなりコンクールの話を持ち込んで友達の家に勝とうとしたり、発表会のあとに自爆してしまうパターンもそれです。
お子さんがどうしたいかが見えなくなりおけいこ事を次々にやらせて最後には全部辞めさせてスッキリ、というパターン。
「習い事を他のお子さんよりもいかにできるかということをいつの間にかお母さんのステイタスに置き換えてしまうパターン」ですね。
いかがでしたでしょうか?
ピアノなどの芸術系の習いごとは進度を競うことばかりではありません。
基礎をしっかり幹を丈夫に育てていくことは何年もかかるものです。
人と比べていらだちを見せるよりも自分がどうありたいか。
これが大切です。
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